土壌のCsの値と作物への移行

10月7日に行われた放射性物質による土壌の汚染 ―現状と対策―の講演要旨集のPDFファイルが公開されています。

作物への汚染は当然ながら心配なのですが、実際汚染はどのような経路で、どの程度土壌から移行するんだろう?というのが、素人である私の疑問でもあります。

今回のお茶の汚染についても、

四角(緑)一番茶、それも早い時期に摘まれた茶(高級の部類)ほど高い
四角(緑)二番茶・三番茶になればなるほど汚染数値が下がる
四角(緑)(一件だけなので不確かではあるけれど)近隣のセシウムの値と比較して茶畑の土壌の値が低い

などから、「きっと表面(葉等)からの汚染なのだろう」という推測の域を出ませんでした。

それについて、今回のシンポジウムで学習院大学教授である村松康行先生が「放射性物質の農耕地への影響: 放射生態学の視点から考える」に研究結果を発表されております。
それによると、足柄の茶の例ですが

まる(赤)古い葉ほどセシウムの値は高く(1200Bq/kg)、新しい葉は低い(500Bq/kg)
まる(赤)茶の木の真下の土壌中のセシウムの値は表層44Bq/kg、それ以深では20Bq/kg以下
まる(赤)ひげ根の部分のセシウムの値は40Bq/kg以下

以上のことから、土壌から根を通じたセシウムの移行はそれほど多くなく、ほとんどが古い葉から取り込まれたものが転流により新芽に移行したものと考えられる


と、まとめておられ、今回私の知る農家の方々は「茶の木を深く刈ること」をされたようなので、来年はセシウムの値はぐっと下がるだろうと私は推測しています。

また、土壌から作物への移行ですが、こちらも環境科学研究所の塚田祥文先生が「土壌から作物への放射性物質の移行」 で研究の結果を書かれています。

まる(赤)時間の経過とともにセシウムは土壌に強く吸着し、作物への移行率は急速に減少する(数年後以降は一様な移行率)
まる(赤)土壌中にセシウムが存在する間は、僅かながら農作物へ移行する
まる(赤)土壌中セシウムを5000Bqとして移行係数から求めたすべての農作物中のセシウムとカリウムを比較すると、全ての農作物でセシウムはカリウム濃度より低い値である

このことから、土壌の数値と作物の移行係数を知ることが大切だなと思いました。
また、セシウムはカリウムに置き換わると考えていましたが、カリウムが優先的に吸収されるのだということもわかりました。
カリウムの値の低い畑ではそれを補う対処は必要なのかもしれませんが、セシウムの値が50Bq前後に対し、カリウムが400~500Bq/kg程度あるならば、それほど神経質にならなくてもよいのかな?とも考えています(が、詳しいことはわかりませんし、作物によっても異なりますので、機会があれば専門の先生に尋ねてみたいと思います)。


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